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2010.11.09 Tue 『ここに私の秘密について書き記しておこう』第八話

*ある女の子の独白調小説(フィクション)
前回の話はこちら

今までとは趣向がかなり違う。あと超長い。

=================


 三学期の期末テストを控えたある日、私は友達の家で勉強会を行うことになった。私と友達はとても仲がよく、学校ではいつもべったりとくっつくように一緒に行動していた。しかし、友達は運動部に所属しているのに対して、私は帰宅部だったので、学校以外の場所では行動を共にすることはなかった。友達の家にお邪魔することも初めてであった。

 その友達の部屋は、いかにも他人の家だなあ、と思わせる香りと雰囲気に満ちていて、私は少し緊張した。玄関で私を迎えた友達の私服姿はちょっと新鮮だった。一方私は休日にもかかわらず制服を着ていた。友達の家族は家を空けていて、家の中はひんやりとした静寂に包まれていた。

 友達に促されるように、二階にある友達の部屋に入った。友達の部屋はあまり飾り気はないものの、きれいに整頓されており、いかにも彼女らしい落ち着いた雰囲気を醸し出していた。私は部屋の真ん中にある正方形の白いテーブルの前に座り、飲み物を準備している友達が上がってくるのを待った。

 部屋の中では、部屋を暖めようとするエアコンの音以外はなく静かだった。窓からは、西日のまぶしい光がレースのカーテン越しに斜めに入り込み、部屋内を明るく照らしていた。見慣れない友達の部屋にひとりで座っていると、どうにも落ち着かない気分になった。しばらくして、友達がジュースとお菓子をお盆に乗せて入ってきた。

 私と友達はテーブルに向かい合うようにして座り、教科書とノート、問題集を開いて、あーでもない、こーでもない、と議論を行った。そう時間が経たないうちに勉強に飽きてしまい、話題は学校での出来事、部活での出来事、そして恋愛のことに移った。

 私にとって恋愛とはよく分からないものだった。一度男の子と付き合ったにも関わらず、他人に恋をする、好きになる、ということが自分の中ではっきりしないままだった。友達に、好きな人がいるかどうか聞かれても、よく分からない、としか答えられなかった。
「人を好きになることはとても苦しくて、それ以上に楽しくて、気持ちのいいことよ」
と、友達は私に言った。

 「気持ちいいこと……」
私の頭の中では、今までに何度も体験した、あの感覚のことが想起された。でも、あの感覚は恋愛とは違う、と漠然と思った。
「へえ、気持ちいいことに興味あるの?」
と、友達が軽い口調で言った。私はその言葉を口に出していたことに気づき、不意に恥ずかしくなって顔を俯けた。友達は立ち上がり、本棚からある雑誌を持ってきてその中から白黒のページを私に見せた。

 そこには、男と女が抱き合っているイラストが載っており、説明文がその下に書かれていた。友達は、好きな人とこういうことをすると気持ちいいらしいよ、と説明してくれた。私は、あまりこういうことには興味が沸かなかったが、一つだけ目を引かれる記述を見つけた。

 その記事の文字列を目で追っていると、不意に後ろから漂う気配に気づいた。顔を上げると、そこには驚くほど近くに友達の顔があった。お互いの鼻息が感じられるほどの距離であった。その表情からは、いつもの彼女とは違った、どこか怪しい色を秘めた気配を感じさせた。

 「気持ちいいこと、興味あるの?」
彼女は、私が彼女から先ほど聞いたばかりの言葉を、今度は私の耳をそっと撫でるような艶かしい口ぶりで囁いた。異様な雰囲気が彼女から感じられ、私は返答に窮した。すると、彼女は一呼吸おいてから、次のように言った。

 「ねえ、まあちゃんと気持ちいいこと、したいの」
一瞬、私はその言葉の意味を全く理解できなかった。直後、彼女の発した言葉の意味と、先ほど呼んでいた雑誌の、裸で抱き合う男女の挿絵が結びついた。

 その瞬間、私は脳天から背中にかけて、ハンマーで叩かれたような衝撃が走った。頭の中では、本当にガーン、という音が響き渡っているように感じた。私は驚きと混乱でつばを飲み込むことも忘れ、言葉を失い呆然としていた。私の両腕は糸が切れたかのように、だらんと下がったまま動かなかった。

 彼女はわずかに頬を赤く染め、目を潤ませながら黙っていた。軽く俯きながら口を固く結んでいるその表情からは、逡巡の色が見て取れた。私はその雰囲気を察して、何も言い返すことはせずに黙っていた。しばらくの沈黙が続いた後、彼女は意を決したように私の顔を改めてしっかりと見据え、次の言葉を丁寧に紡ぎ出した。

 「実はね、私が好きなのは、あなたよ」
私の頭の中は、その言葉をどのように処理していいか分からず、ただ真っ白に染まっていた。彼女は私を机越しにそっと抱き寄せた。私よりふた周りは大きい彼女の体と両腕が、すっぽりと私の体を包み込んだ。

 鼻先をくすぐる彼女の髪の毛から、彼女がいつも使っているシャンプーの香りが漂ってきた。彼女の体は柔らかくて暖かかった。彼女の胸の高鳴りが密着している私の胸に流れ込んできた。私も彼女と同様に、驚きで早鐘を打っている心臓の鼓動を彼女に送り込んでいた。

 私と彼女は胸のところで一つにつながっていて、お互いに心臓の鼓動だけでコミュニケーションをとっているような気がした。不思議なことに、私を支配していた驚きと緊張は急速に溶けるように消え、その代わりにふんわりとした安らぎと心地よさが現れはじめた。

 彼女は一旦私を抱き寄せていた両腕をほどき、再び私の顔を見ながら、
「ねえ、キスしよっか」
と言った。テレビや本の中でしか目にかかることはなかったその行為について、彼女の口から発せられることは、やはり私の予想していたものではなかった。私はほとんど思考を停止したまま、ひたすらに黙りこくっていた。

 すると、彼女は私の返答を待つことをせず、頭を傾け、唇をすぼませて私のほうに近づいてきた。ちょっと……と口に出そうとした私の唇と、彼女の唇が触れた。柔らかくて湿っぽく、温かいその感触が、私の唇越しに流れ込んできた。その瞬間、時間の流れが止まったように感じた。これが私にとっての、ファーストキスだった。

 私はどうすればよいのか分からず、ただ体を硬直させたままされるがままにしていた。それを察したのか、彼女は私の後ろに腕を回し、やさしく背中をさすってきた。その行為に対して、私は小さい頃、母親に同じようなことをされていたことを思い出し、少し懐かしいような不思議な気持ちになった。

 私は、どこかで聞いたことのある、ファーストキスはレモンの味、というフレーズを、机の上に置かれた、融けかけた氷の入ったコップを傍目で見ながら思い出していた。

 不意に彼女の舌が私の唇を割り込んで入ってきて、そのまま私の舌と絡まってきた。やわらかくて、温かくて、コリコリ、ざらざらしているものが、私の口の中で意思を持って動き回る――それは初めて味わう感覚だった。

 私はなんだか少し楽しくなり、その仕返しとして、自分の舌で彼女の舌を弧を描くように撫で回した。すると彼女の舌は動く範囲を広げて、口の中の上や横の部分を舌で撫でてきた。私はそのくすぐったさに、思わず鼻から噴き出してしまった。それにつられて彼女もプッと息を噴き出し、互いの唇を離すとケラケラと笑いあった。

 しばらく笑いあって落ち着いた後に、
「ごめんね、でももう我慢できなかった」
と、彼女が言った。私は、初めてのキスだったこと、不思議な感触だったこと、そして、悪い感じはしなかったことを伝えた。そして、いつの間にかあの感覚が私の中で湧き起こっていることに、今になって気づいた。

 不思議だった。今私の中で起こっている感覚は、今までと違ってなんだかとても優しく穏やかで、少し切なく、そして幸せな心地を伴っていた。ほとんど覚えていないくらい小さかった頃、何も知らずに本能の赴くままにこの感覚を楽しんでいた頃の事――ずいぶん長い間使っていなかった、頭の隅の錆びついた回路が動き始め、それは私に懐かしさを呼び起こさせた。

 彼女は再度私に顔をぐっと近づけ、右手を私の頬にそっと添えた。彼女の温かく湿った指先の感覚が伝わってきた。
「ねえ、さっきの続きをしてみたくない?」
さっきの続き――私は顔をうつむけながらも、迷うことはなく小さくうなづいた。



 彼女は手際よく自分の服を脱いでいった。その迷いのない手つきは一切の無駄がなく、私はその様子を凝視していたにもかかわらず、彼女がどの順番で服を脱ぎ、どのような下着を着ていたのか、思い出すことができなかった。

 ものの一分も経たないうちに、彼女は一糸纏わぬ姿となった。冬の弱々しい西日の光が、窓の擦りガラスによって散乱し、シャワーとなって彼女の裸体を斜めから映し出し、その立体感を強調させていた。彼女の透き通るような白い肌、それとは対照的な腕と脚に残る日焼けの跡、そして、大人びた雰囲気を忍ばせる柔らかな彼女のシルエットは、私から見て嫉妬が起こるほどに、健康的な美しさを醸し出していた。

 私が彼女の姿にじっと見とれていると、
「あまりじっと見ないでよ、恥ずかしいから」
と、彼女はかすかに頬を赤らめつつ言った。その言葉によって、私ははっと我に返ったような気がした。そして、次は自分が同じことをするのだと考えると、心臓の鼓動が早まり、頬がかあっと温かくなってきた。緊張によって震える手で、ブラウスのボタンに手をかけようとすると、彼女の手がそれを制した。

 「だ~め、まあちゃんの服は私が脱がすの。いいよね?」
彼女のその言葉に私は急に恥ずかしくなり、自分で脱ぐからいいよ、と言い返した。しかし、彼女は頑なに自分の意見を変えることはなく、私はついに折れてしまった。

 私はベッドに腰掛け、彼女が私の前に膝を立てて座った。彼女は私の胸の前に顔を近づけ、私のブラウスのボタンを一つずつ外していった。私は黙々と作業を行っている彼女の顔を上から見下ろしていた。ボタンが一つずつ外れるにしたがって、期待と不安の入り混じった動悸が激しくなってきた。

 私の目の前に裸の女の子が座っていて、彼女の手によって私の服が脱がされていく――私にとって異常に映るその光景は、どこか儀式めいた神秘さを感じさせた。

 飾り気のない私の白いブラジャーが、ブラウスの隙間からあらわになった。ブラウスの下の部分は私のスカートの中に収納されていた。彼女はボタンを外す手を止めて言った。
「先にスカートを脱がなきゃダメね。はい、たっちして」
彼女の私を幼児のように取り扱うような言い方に、私は不快感を表明した。彼女はいたずらっ子のような無邪気な笑みを浮かべつつ、
「そんなにむくれないでよ、冗談よ」
と言った。私は眉をひそめたままベッドから立ち上がった。

 彼女は手馴れた手つきで私のスカートのホックに手をかけて外し、ジッパーをおろした。制服のスカートが私の腰から外れてストンと落ちた。私の飾り気のない白い綿のショーツが彼女の目の前に現れた。スカートに収納されていたブラウスが開放されてはらっと広がり、私のお腹とおへそが丸見えになった。

 彼女は私の股間に顔を近づけ、
「可愛い下着ね」
とつぶやいた。私は恥ずかしさのあまり、自分でも気づかないうちに両手で口を覆い、目は泳いでいてどこか別のところを見ていた。体中が火照っていて、心臓が口から飛び出しそうなほどどきどきしていた。

 彼女はそのまま立ち上がり、私の上半身にかかっているままのブラウスを私の体から外した。長袖のブラウスがぱさりと床に落ちた。彼女はそれを拾い、私のスカートと一緒に丁寧に畳んで、
「はい、バンザイして」
と彼女が言った。またもや私は幼児扱いされた気がして、不機嫌になった。私がむくれている様子を察して彼女は言った。
「バンザイしないとブラ脱げないじゃない」
そう言われてみればそうだ、と思った。

 とはいっても、他人の手によって私の下着を脱がされる行為は、幼児性を強調していることには違いなく、それが却って私の羞恥心を刺激した。一方、もうほとんど思い出せないほど昔に母親にしてもらったことでもあり、どこか懐かしいような気持ちも覚えた。

 私の体からブラジャーが外れ、私のほとんど膨らんでいない胸があらわになった。私の心臓は千切れそうなほど早鐘を打っていた。しかし、息苦しいながらもどこか心地よい流れが私の中で渦巻いているのを感じ取ることができた。私の体内を循環する熱気が、私の意識をぼんやりとしたものに追いやっていた。

 私の目の前には、私とは別の女性の裸体が映っており、その光景は私から現実感と正常な判断力を奪い去った。自分の激しい呼吸によって忙しく上下している見慣れた胸でさえ、まるでなにか別の生き物のように見えた。その光景の意味を考えようとするたびに、体の奥底から言葉にできない熱い衝動が湧き起こり、私の心は何度も揺り動かされて、今にも打ち負かされようとしていた。

 「ショーツ脱がすよ、いい?」
彼女のその言葉に私の心臓はひときわ大きく反応し、背筋をぞくっと波が駆け上った。視界も、聴覚も、時間の感覚も、これから起こるであろう出来事への期待感によって歪められた。彼女は再び私の前に膝立ちで座り、私のショーツに手をかけ、焦らすようにわざとゆっくりと下ろし始めた。

 私はその様子を直視することができず、汗ばむ両手をぎゅっとにぎりしめたまま、幾何学模様の刻まれた天井をじっと見ていた。しかし、ショーツが私の肌を擦れる感触は、今どこまで脱がされているかを刻々と私に伝えてきた。その感覚は羞恥心によって増幅され、私の脳をチクチクと刺激した。

 ふと彼女の下着を下ろす手が止まった。
「ここ……濡れてる……」
彼女のその言葉に私はどきっとして、ゆっくりと視線を下にやった。私の下着の内側はじっとりと湿っていて、うっすらと毛が生えている割れ目と、下着の布地の間に、粘液の糸が垂れているのが見えた。今までの彼女との出来事と、それに伴って沸き起こるあの感覚によって、私の体は気づかないうちに何度も軽く達してしまっていて、すっかりとろけた状態になってしまっていた。

 私は見られてはいけないものを見られたような気がして、目を瞑ってぶるぶると震えていた。
「私のために、こんなにしてくれたんだ……嬉しい」
と、彼女は言った。私はその言葉になんだか救われた気がして、少し嬉しい気持ちになった。

 私は彼女を手伝うようにして、片足ずつ下着を外した。ついに私は彼女と同じく、一糸纏わぬ姿となった。私と彼女はベッドに並ぶように腰掛けた。

 彼女は左手で私の首筋を優しく撫でながら私のほうをじっと見た。彼女の頬はほのかに紅く染まっていて、その熱気がこちらまで伝わってくるかのようだった。彼女の右手がそっと私の胸に添えられた。
「すごいどきどきしてる…」
彼女の右手が私の胸の上を滑り始めた。私のかすかなふくらみの中心にある突起を指がはじいたとき、こそばゆいような、ちょっと痛いような、歯がゆい感覚が伝わってきた。彼女の左手は私の背中からお尻を撫でていた。その手つきは本当に優しくて柔らかく、私の心は安らいでいった。

 しばらくして、私よりふた周りほど大きい彼女の体が私に覆いかぶさってきた。私は促されるままゆっくりと仰向けの格好でベッドに横たわった。彼女は私の上に四つんばいの格好で重なっていた。彼女の顔は私から見て逆光となり、表情は分からなかった。ただ、その熱っぽい息づかいと、湿り気を帯びた唇から、彼女の気持ちを察知することはできた。

 そのまま私と彼女はそっと唇を重ねた。先ほどとは違って、今度はすぐにお互いに舌を絡ませた。それぞれの口の中を味わいつくすかのように、丁寧に、満遍なく舌が踊り、唾液が行き来した。

 ベッドの上で裸になって、女の子同士でキスをするという行為に、スリルと背徳感を覚えた。しかし、却ってそれが私の心に点いた火を燃え上がらせ、肉体も敏感に反応するようになった。私の口の中を容赦なく動き回る彼女の舌使いに、私の心はねっとりとした熱く甘い波に包まれ、次第に思考は彼女の口から伝わってくる感触を貪ることに没頭するようになった。

 私と彼女の息遣いは次第に荒くなり、部屋の中に響くお互いのくぐもった声と水分を含んだ音は激しさを増した。私の感覚は舌先のみに集中し、まるで全身をくまなく舌で撫でられているような錯覚を覚えた。下半身からもどかしいようなじれったいような感覚が伝わり、私は自分の腰をいじらしく揺らしていた。

 お互いの混ざり合った唾液が口角から垂れ、私の胸の上へひんやりとした余韻を伝えた。私はそれを左手で掬い取り、自分の胸に丁寧になすり付けた。なぜそうしたのかは分からなかったが、それがそのまま流れ落ちてしまうのはもったいなく思えた。

 キスをしていることを客観的に意識するたびに、電流のようなピリピリした感覚が背筋をぞわっと駆け上った。時折、私の意識は中空に突き上げられて明滅を繰り返し、そのたびに浮遊感と多幸感に包まれた。舌先から伝わってくる甘く暖かい刺激によって、私の意識は何度もふわふわした空間を漂った。

 どのくらい長い時間キスをしていたのか、時間の感覚が歪んでいて正確に把握できなかった。いつの間にか私と彼女はお互いに横向きに寝転がっており、口の周りはそれぞれの唾液がミックスされた粘液でドロドロになっていた。私はそれをふき取ることもせず、彼女の大振りの胸に手を這わせて、幼児のようにその感触を無邪気に楽しんでいた。

 彼女はゆっくりと私の口から離れ、
「上になって。そのほうがお互いに楽だから」
と言った。私は彼女の言葉に素直に従い、彼女の上に女の子すわりの格好で馬乗りになった。すると、私の太ももが彼女の腹の上でぬるっと滑った。

 不思議に思って太ももに手をやると、震える指先に透明な粘液が絡まっていた。私の太ももはほのかにピンク色を帯びており、いつの間にか陰部からあふれる粘液で濡れていた。その様子を察したのか、彼女は次のように言った。

 「もっと気持ちよくなりたい?だったらお尻をこっちに向けて」
お尻を彼女に向ける――その言葉に対して、私の心臓はどくんとひときわ大きく跳ねた。そして、それに呼応するかのように、ずくん、ずくんと切ない疼きが下腹部で暴れ始め、私の思考を白く塗りつぶした。私は全身をじりじりと焼かれるような熱い期待感に流されるまま、四つんばいの格好で、彼女の体を踏まないように注意深く体を180度回転させた。

 私の心臓は爆発しそうなほど、ばくばくと鳴っていた。激しい運動ではないのに、口からはふぅー、ふぅーと息が漏れていた。私の頭の中は、何度も達せられたおかげですっかり快感に酔っていた。もっと大胆なことをしてみたい――その衝動に流されるように、私は敢えて腰を反らせてお尻を突き出すように体を動かし、意識的に股を彼女の顔の前で大開きにした。

 自分のやっている行為の意味を考えるだけで、私の顔は恥ずかしさでかあっと上気した。しかし、その恥ずかしさが快感の波となってさらに私の体を震わせた。割れ目がひくひくと蠢き、そこからはとろとろと熱い液体が分泌されているのが自分でも分かった。

 そのこと自体がさらに私を興奮の高みに追いやった。それに伴い、体中を締め上げるような快感がぞわっと広がり、思わず声が出た。自分で出したその声さえも私の興奮を後押しし、快感が加速度的にのぼり始めた。私の意識は急速に体の内側に集中し、視界が白い波に覆われた。私は天井を仰ぎ見るかのように背中を反らせ、ぶるぶるっと全身を二、三度震わせた。下にいた彼女の首筋に透明な雫がぱたぱたっと散った。

 「すごい……見られるだけでイッちゃうなんて」
と、彼女は言った。イク……?未だ昇りきったままの頭の中で、先ほど読んだ雑誌の挿絵を思い出していた。そうか、この感覚って「イク」っていうんだ。私は今まで何度も経験していたこの感覚の名前を初めて知った。

 「もしかしたら、今のまあちゃんだと耐えられないかもね」
と、彼女は言った。その瞬間、私の体の中を、今までとは全く異なる衝撃が突き抜けた。彼女の指が私の陰部に触れたのだ。何度も何度も達せられてすっかり敏感になり、物理的な刺激なしに長い間焦らされ、私の陰部は空気に触れるだけで達しそうになるほど、すっかりとろけきっていた。

 そこにあてがわれた彼女の指が動き始めると、私にわずかに残っていた羞恥心と遠慮の心が完全に吹き飛ばされた。私は脇目も振らずに体を揺すって嬌声を上げた。彼女の攻撃はとどまることを知らず、私はその刺激に合わせて何度も腰を振った。

 「自分だけじゃなくて、私も楽しませてよ」
と、彼女が言った。私の目の前には熱気を伴った彼女の陰部が迫っており、そこは私と同じように粘液で湿っていた。私だけが楽しむよりも、お互いに気持ちいことをしたほうが絶対によい。私は思い、見様見真似で彼女が私にしていることをやり返した。

 他人の陰部をいじる……私にとって初めてのことだったので、うまくできているかどうかよく分からなかった。それでも彼女は喜んでくれている、と私は理由もなく思った。

 私達は、お互いの汗と唾液と粘液を混ぜ合わせる行為にひたすら夢中になった。部屋の中では、二人を必要以上に温めるエアコンの駆動音、ベッドのシーツと肉体がこすれる音、二人の息づかいとくぐもった喘ぎ声だけが響いていた。ヌラヌラと艶かしく光るお互いの肉体を、快楽に任せてベッドの上で動き回らせていると、手足が絡まりあってほどけなくなるような気さえした。でも、それでもいいと思った。

 今まではあの感覚が沸き起こるたびに、私はそれを我慢したり、周りから隠そうとしたりしていた。感覚によって無理やり達せられる体に対して、私の心はいつもそれを否定していたのだ。彼女と交わったこの瞬間、今まで否定していたこの感覚を、思うがままに受け入れて思いっきり開放していい……そう考えると、初めて自分の心と体が一緒になって私の意識を高みに連れて行ってくれる、そんな風に感じることができて、私の心は開放感に満ち溢れていた。私を今まで翻弄し続け、悩ませ続けたあの感覚は、この瞬間のために存在していたのだ、とさえ思うことができた。

 幸せな気持ちが体中を包み込み、彼女から送られてくる快感の波によって、私の意識はふわふわしたベッドの海を漂った。キラキラした白い星が飛び交う世界の中で、私とひとつになろうとする彼女に対して、私は母親に甘える乳児のごとく、心も体も全て預けきった。もつれ合い、絡まりあうたびに、まだ成長の余地が残っている私の華奢な肉体は、大人の女性が味わうであろう甘美な刺激に翻弄され、何度も何度もエクスタシーにいざなわれた。



 私の顔を撫でる温かく湿った風によって、私の意識は現実に戻ってきた。ふと気づくと、私の目の前には彼女の眠っている顔があった。今にも触れられそうなほど近くにあるそれに私はドキッとして、ぼんやりとした頭をゆっくりと動かした。私と彼女の体には毛布がかけられていた。体を動かそうとすると、毛布のチクチクした感触が伝わってきて、自分が裸であることを思い起こさせた。私の右手は毛布の中で彼女の左手と重なっていて、お互いの汗でしっとりと湿っていた。

 私は彼女を起こさないように、ゆっくりと体を動かして毛布の中から這い出た。ベッドの横にある椅子の上に私の下着が置かれていた。私はそれを手に取ろうと立ち上がろうとすると、思った以上に膝に力が入らず、ベッドの上に腰をストンと落とした。その衝撃でベッドが縦に揺れ、ギシギシと鳴った。どきりとして彼女のほうを見ると、彼女は毛布の中でけだるそうに体を動かしていた。起きているのか、まだ寝ているのか私には判別がつかなかった。

 私の下半身にはまだ先ほどの余韻が残っており、痺れるような温かい感覚がじわじわと沁み渡っていて、太ももが微かにふるふると震えていた。窓から差し込む西日が部屋の反対側の壁まで到達し、随分とオレンジ色を帯びていることに気づいた。部屋の壁にかかっているシンプルなフォルムの時計に目をやると、最後に時間を確認してからおよそ2時間が経過していた。

 私は先ほどの出来事を思い出していた。一連の体験は私にとって刺激的で楽しく、とても気持ちのよいものであった。今の私の心は憑き物が落ちたかのように晴れ晴れとした心地であった。随分久しい間感じることがなかった爽快感が、私の心の中を吹き抜けていた。自分の視界に映る世界が、がらっとその色を鮮やかなものに変えたように見えた。心踊るような気持ちになり、いてもたってもいられなかった。

 私の目の前には、先ほどまで行われていたことの映像がありありと映し出された。映画を見ているような心地でその場面を反芻していると、先ほどまでの胸の高鳴りが、だんだんと熱く怪しいものにとってかわってきた。私はその感覚の襲来に敏感に反応し、背筋をぶるぶるっと震わせた。下腹部から発せられる脈動が次第に増大し、私の視線はまだ湿り気を帯びている股間に自然と動いた。私はごくりとつばを飲み込んだ。

 今まで興味本位で自分の陰部を触ったことは何度かあった。そのときは何の感覚が沸くこともなかった。しかし今回に限っては、今までと違う感覚を得られるのではないか。私は、友達に私の陰部をいじられたときに感じた衝撃を、自然と思い浮かべていた。湧き上がる期待と緊張で、股間へと伸ばす手先が震えていた。心臓が切ないほどに激しく拍動し、呼吸は自分でも分かるくらいに乱れていた。触る前でさえこんな状態なのに、触ったら一体どうなるのだろう――

 「なにしてるの?」
私の後ろで不意に声が響き、私は心臓が口から飛び出るかと思うほど驚いた。振り向くとそこには少し眠たげに微笑んだ彼女の顔があった。私は急いで股間に伸ばしていた手を戻した。私のやろうとしていたことが彼女に知られていないかどうか気になった。

 すると彼女は、
「もうすぐ家族が戻る時間だから、服着てくれるかな」
と言いながらあくびをした。私はうなずいて、いすの上に置いてある私の下着に手をとった。先ほどの続きをすることができないことを考えると、ちょっと残念な気持ちになった。
「また今度、しようね。まあちゃんのこと大好きだよ」
と彼女は言った。私はその言葉にうれしくなり、私も大好き、と返した。

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